アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹です。原因としては、皮膚障害や環境因子、アレルギー因子などが関連しあっていることが知られています。簡単に言うと、乾燥肌・敏感肌という体質からくる、かゆみのある皮膚炎といえます。

症状

1歳くらいまでは、顔や頭、体幹、四肢などに、かゆみのある、かさかさや赤みや時にじゅくじゅくした皮膚の症状がみられます。1歳をすぎた幼児期では首や肘・膝などの関節の内側に左右対称にかゆみ、赤み、じゅくじゅく、ごわごわやぶつぶつなどの症状が出やすいことが知られています。耳のつけ根のきれつもよくみられます。かゆみのために引っ掻くことで皮膚炎が悪化し、そのために痒感が強くなり、また引っかくという悪循環を生じることもアトピー性皮膚炎の特徴で、注意が必要です。

悪化させる因子と対処

春~夏には・・

  • 発汗・プールの消毒薬の塩素・高すぎる室温・高い湿度などが増悪因子です。
  • 汗はふく、プールや海水浴後はシャワーをしっかりあびる、室温、湿度に注意しましょう。

秋~冬には・・

  • 衣類のごわごわや毛羽立ち・ニットのハイネック・セーター・空気の乾燥・熱い風呂などが増悪因子です。
  • 衣類としては柔らかい木綿の衣類が直接皮膚にあたるようにしましょう。子どもに触れる場合は大人が身につけるニットにも注意が必要です。室内の乾燥に注意しお風呂は少しぬるめ位にしましょう。

環境因子・・

  • ぬいぐるみ、カーテン、カーペット、などはほこりのつきやすいものです。
  • できるだけ洗ったり干したりしましょう。

スキンケア上の注意は・・

  • 不適切な塗り薬が増悪因子となることあります。
  • 合わないかもと感じたらいったんやめて医師に相談してみましょう。

その他・・

  • 引っ掻くこと・精神的なストレスも悪化因子となります。
  • 引っ掻きがとまらない場合はお薬の変更が必要かもしれません。医師に相談しましょう。
  • 親子でリラックスできる時間をつくりましょう。症状をコントロールし、幼稚園や保育園へ規則正しく登園することが生活リズムを作り、子どもの気分転換になることも多いです。

アレルゲンと対処方法

標準的な、薬物治療(塗り薬や飲み薬)を行っても、アトピー性皮膚炎の改善が得られない場合などには、アレルゲンとなっている因子(食物・ほこり・ダニなど)を調べることも有効ですが、アレルゲンの決定やその対処は難しい為、自己判断ではなく、医師と相談の上すすめることが大切です。

乳児(1歳未満の子ども)では、適切なスキンケアや薬物療法を行っても症状が改善しない場合に食物アレルギーの関与の有無を確認します。食物アレルゲンの関与が明らかな場合に除去食療法の効果が見られていますが、この治療期間もスキンケアや外用療法は続ける必要があります。年齢が上がるにつれ、身体の成長とともに食べることの出来る食品が増えることが知られています。定期的に診察を受けて過剰な食物制限は避けましょう。

治療

アトピー性皮膚炎の治療は、自己流ではなく、皮膚科医や小児科医の診察と処方を受けた上で行いましょう。治療のポイントは、以下の3つのようになります。

飲み薬

かゆみやアレルギー反応を体内から抑えることができます。

ぬり薬

アトピー性皮膚炎でみられる湿疹の治療の基本は、ステロイドのぬり薬です。ステロイドのぬり薬の強さは5段階にわかれており、体の部位によって吸収され方が異なります。医師は、症状の強さと部位によってステロイドのぬり薬の強さを調節しますので、定期的に医師の診察を受けて、自分の症状に合ったお薬をぬることが大切です。タクロリムス軟膏という塗り薬もあり、2歳以上の子どもでは症状によって処方されることがあります。

飲み薬

抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤が処方されます。かゆみやアレルギー反応を体の内側から抑えるのに有効です。粉薬(ドライシロップ)や液体のことが多く、かゆみの強いときには、内服することで入眠が楽になったり夜間も良く寝られるようになります。熱性けいれんの既往のあるお子さんでは、注意が必要なことがあります。

保湿剤

保湿剤も症状等にあわせて医師に処方してもらいましょう。さらっとしたローションタイプから、ワセリンのようなものまでいろいろな製品があります。しっとりとした状態を保つことで皮膚の湿疹やかゆみが出にくくなります。

アトピーちょっとコラム

風呂のあとが、お薬を塗るタイミング

お風呂で、ごしごしあらうことは禁物です。柔らかいタオルか手で、普通の石鹸を泡立てて優しく洗うようにしましょう。アトピー性皮膚炎の子どもは、お湯の温度が熱いとかゆみが誘発されますので、少しぬるめの温度にしてください。入浴剤は硫黄を含むものは避けましょう。

お薬をぬるのに最適な時間帯はお風呂あがりです。軽くタオルで押さえるように拭き、皮膚が清潔でしっとりとした状態のところにぬり薬を皮膚になじませます。できれば翌朝の着替え時にもう1回ぬるようにしましょう。保湿剤も一緒に使用しましょう。ぬり方は医師の指導を受けましょう。

ぬり薬の副作用

ステロイドのぬり薬の副作用として、使用し続けた場合に皮膚がうすくなる、赤みがでる、にきびができやすくなる、細い血管が拡張するなどの副作用を認めることがあります。ステロイドの外用剤の副作用として、色素沈着はありません。医師の注意を守って、「どの薬」を「どの部位」に、「どのくらいの量と回数」で、「症状がどのようになるまで」塗るのかをよく確認して使用してください。

お顔は皮膚がうすいので副作用の出やすい箇所ともいえます部位ですので、医師とよく相談して外用しましょう。タクロリムス軟膏の副作用として、塗ったときのひりひり感があります。非ステロイド系消炎外用剤はかぶれる事もありますので、心配な場合は、皮膚科医師や小児科医師の診察を受けましょう。

爪切り

爪は短く切り、できればやすりをかけましょう。

アトピービジネス

「これでアトピーが治った!」「体質を変える!」このような宣伝文句で、非常に高額な商品を売りつけられるアトピー性皮膚炎の患者さんが実際におられ“アトピービジネス”という言葉が生まれました。まず標準的な治療を行うことが重要です。

合併しやすい皮膚の病気

水イボ(伝染性軟属腫)

ウイルスによる小さな白っぽいぷつぷつが、脇や体などにできます。かきこわすとウイルスが拡がります。自然に治るのを待つか、治りにくい場合は除去することもあります。皮膚の接触やビート板などを介してうつることがありますが、水を介して伝染するわけではありません。

とびひ(伝染性膿痂疹)

皮膚の表面にばい菌がついて、皮膚がむけたようになって、拡がっていきます。感染力がありますので、抗生物質を内服し、皮膚の症状にあったお薬をぬって治療しましょう。

ヘルペス(カポジ水痘様発疹症)

ヘルペスウイルスが、アトピー性皮膚炎でかきむしったようなところから、感染して小水疱が拡がります。専門医の診察と治療が必要です。場合によっては入院治療などが必要なケースもあります。

眼の症状

眼の周りを掻いたり叩いたりすることで眼瞼炎、角結膜炎、白内障、まれに後に網膜剥離などが生じることがあります。普段からのアトピー性皮膚炎のコントロールが大切です。

日常生活や公共施設での注意点

塗り薬

一般的には朝と夜の1日2回家庭で塗るだけで充分です。症状によって、園で塗布する場合、使い慣れたお薬であれば問題はないと思われますが、保護者とよく話し合って、塗る部位・塗り方などを確認して使用するようにしましょう。

プール

消毒の塩素はアトピー性皮膚炎の症状を悪化させることがあり、症状が強い場合には、医師と相談していただくほうがよいでしょう。プール後は充分にシャワーを使用します。とびひのときはプールの使用はしません。

紫外線

アトピー性皮膚炎の児では、適度な紫外線で皮膚炎が軽快することもありますが、きつい日焼けは症状を悪化させることがあります。遠足や運動会などでは、帽子や日焼け止めの使用、テント等の整備なども考慮することが必要かと思われます。

ペットの飼育

動物や鳥の毛やフケ、羽などはアトピー性皮膚炎の症状を悪化させることがあります。飼育係などをはずす配慮が必要です。

かゆみの訴えに対して

かゆいところを冷やすことで症状が和らぎます。汗をシャワーで流したり、濡れたタオルで汗をふき取ることも効果があります

マメ知識

インフルエンザ対策で、置かれるようになった消毒薬は、アトピーの子どもにとっては皮膚に刺激となりアトピーの症状を悪化させます。ふつうの手洗いでOKです。

アトピー性皮膚炎は乳幼児に多い疾患で、近年増加傾向にあることが知られています。
しかし、幸いにも最近では、上手にコントロールできる病気になっ
てきました。
「いい状態を保って、保育園や幼稚園で楽しく過ごす」ことを目標に、お薬の使用方法や日常生活に注意していきましょう。
皮膚の症状に関して、不安や心配があれば、まず、かかりつけの医師の診察をうけて、相談していただきたいと思います、症状によってお薬も変わりますので是非、定期的に診察を受けるようにしましょう。

一般財団法人京都府医師会ホームページより

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