アレルギー性接触皮膚炎は、だれにでもおこるのではなく、ある特定の人にだけおこります。
この皮膚炎は皮膚についた化学物質が吸収されて、皮膚の表面をおおっている表皮の見張り役、ランゲルハンス細胞や、表皮の下の真皮にいる樹状細胞に取り込まれた結果、「その人の体に悪いもの」と考えられた場合に起こります。
これらの抗原提示細胞は活性化されて体の中を移動して所属リンパ節までたどりつき、この悪い化学物質をやっつけるリンパ球をつくるように頼みます。そして、十分なリンパ球がつくれた時に、皮膚に悪い化学物質が残っていると、リンパ球は、その場所へ集まり攻撃して、皮膚を水浸みずびたしにし、かぶれの原因になるものを薄めようとするのです。そのため、小さい水ぶくれができ、ひどくなると大きな水ぶくれになります。
そして、悪い化学物質がついた皮膚をできるだけ早くはがして新しい皮膚に変えようとします。その結果、ただれて、汁がでてくるなどの「かぶれ」という症状になります。この反応が軽い場合は赤くなりぶつぶつができ、そして、かさかさして治ります。
薬がアレルギー性接触皮膚炎の原因に?
薬剤は、皮膚の病気をなおす目的で使われます。多くの人には治療効果があり、かぶれの症状はおこしません。しかし、診断を間違えて使ったり、使い方を間違えると、刺激性接触皮膚炎をおこすことがあります。これらの薬剤も、体にはもともとない異物です。診断が正しくても、皮膚や体に合わないものと判断する体の仕組みをもっている人には、アレルギー性接触皮膚炎を起こすことがあります。
アレルギー性接触皮膚炎は、いろいろな薬剤によっておこります。頻度が高いのは抗真菌外用薬(みずむし、たむしなどを治す薬)、抗菌外用薬(とびひ、にきび、おできなどを治す薬)、消毒薬、抗炎症外用薬(関節の痛み、肩こりなどを治す薬)などですが、かぶれを治す目的のステロイド外用薬(湿疹、かぶれを治す薬)でもおこることがあります。
マメ知識
かぶれの原因となった医薬品の成分を内服したり注射すると薬疹をおこすことがあるので注意してください。一度アレルギー性接触皮膚炎をおこした薬剤は、ほぼ一生体の中に記憶されます。そして、再びこの薬剤や、よく似た薬剤を内服あるいは注射すると、薬疹(副作用としてでる発疹)がでることが予想されます。
一度接触皮膚炎を起こした薬剤は、再び症状を起こさないように覚えておき、医師または薬剤師に必ず薬剤名と症状について話しましょう。このような症状は、抗アレルギー点眼薬でかぶれた人が同じ抗アレルギー薬を飲んだとき、あるいは、抗菌外用薬でかぶれた人が、同じ、あるいはよく似た抗菌薬を飲んだときや注射した場合におこります。
また、きず薬や虫さされ・しっしんに使う市販薬にかぶれた人は、そのなかに含まれている局所麻酔薬に反応した可能性があります。まえもって、医師に話さなければ局所麻酔をした場合に、薬疹を起こす可能性があります。
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